クレジットカードのショッピング枠を利用した「現金化」というのは、本来は商品の購入のために利用するためのショッピング枠を、換金を目的としてカードを利用することを言います。

最近、広告や新聞・雑誌・看板・インターネット等でこのような「クレジットカードのショッピング枠を現金化します」と書かれたものを見かけますが、換金目的でのクレジットカード利用はこれらの行為を認めておらず、もしも利用したことが判明した場合、会員規約違反となり、カードの利用ができなくなったりします

現金化の主な方法には、「買取方式」と「キャッシュバック方式」の2通りがあり、「買取方式」は電化製品やパソコン、ブランド品などの商品をカードで購入させ、業者が手数料を差し引いた金額で買い取ると言う方法です。現金は手元にいったんは入りますが、商品は業者が買い取るため利用者の手元には残りません。

対する「キャッシュバック方式」というのは最近ネット業者に多い手口であり、価値のない二束三文のCD-ROMやおもちゃのネックレス、置物などを高額な金額でクレジットカードを使って購入させ、キャッシュバックと称してその何割かを利用者の銀行口座に振込む方法です。価値のない形だけの商品はあとから送られてきます。

このような方法はいったんすぐに手元に現金が入り、受け取ることが出来ます。
しかし、いずれその金額以上のカード利用金額がクレジットカード会社から請求されることになるのです。

例えば50万円の商品を購入し40万円を受け取った場合、10万円は利用者が債務を負うことになります。

もしも1ヶ月後に50万円を返済した場合の年利を下記の計算式に当てはめてみると、

借入金 × 年利 ÷ 12ヶ月(365日、うるう年は366日) × 利用日数 =利 息
40万円 × 年利 ÷ 365日 × 30 = 10万円

ということになります。

金利がいくつになるか求めてみると、

金利 = 10万円 ÷ 40万円 ×365日 ÷ 30日

金利 = 3.0416666…

何と利息は304%にもなってしまうのです。

ショッピング枠を現金化するということは、利息制限法の水準(貸付額に応じ15%~20%)である20%をはるかに超えた金利となり、この方法は完全にブラック化した法外な手法であることがお分かりいただけたかと思います。

そのため、上記のような広告や勧誘には惑わされないように気を付けましょう。
換金目的のカード利用は、結局は自分の債務を増やすことになります。また、犯罪や思わぬトラブルに巻き込まれるケースもあります。

ショッピング枠を利用した「買取屋」手口

買取屋の手口は、「借入件数の多い方でも即刻融資!」などのチラシや広告などで利用者を集めてクレジットカードのショッピング枠で家電製品を購入させて、定価の3~4割で引き取る方法です。

お金を借りに来た債務者はいわゆる、正規のところでの融資が難しい多重債務者で、その者に対して相手にした手口です。この場合、ショッピング枠の何割かの現金が一時的には入りますが、いずれクレジットカード会社から購入した商品価格全額料の請求が来るため、手元には借金だけが残ることになります。

買取屋はそこから更に、その商品を転売して利益を得る、転売目的のため、還元率の高い家電製品やブランド品、パソコンなどを買わされることが多いようです。

実際に、融資を頼んで「買取屋」手口の被害に遭った事例がありましたので、掲載したいと思います。

~商品購入編~

中山さん(仮名・地方公務員41歳)は、新聞の折り込みチラシの広告の「7.5%で融資する」というのを見て、半信半疑ながらTクレジットに電話をしました。電話に出た男に確認すると、「間違いなく7.5%で貸しますよ。すぐに店まで来てください」と言われました。

事務所を訪ねると小林(仮名)と名乗る社員が応対し、細かく身上調査を受けました。

その後、小林氏は「これから正式の審査をさせてもらいます」と言って奥に引っ込み、10分か15分経った頃に出てきて、「ちょっと借入れが多すぎます。少なくともあと4~50万ほど減らしてもらわないと。1件完済して、身軽にしないと無理ですね」と言われました。

中山さんが、「そんなお金、持っていませんよ」と言うと、小林氏は、「実はよい方法があります」と言い、クレジットカードで品物を買い、それを換金するという方法を教えました。

その後、女性に案内されて電気店へ連れて行かれました。中山さんが店先で迷っていると、案内役の女性が携帯電話で事務所に連絡をとりました。

そして受話器を手渡され、中山氏が電話口に出ると「なに迷ってんだよ。公務員がサラ金から金を借りていいのか?グズグズしてるんなら、ブラックリストに載せてクレジットカードを使えなくしてやってもいいんだぞ!」などと小林氏から脅しをかけるようなことを言われ、仕方なく相手方のいいなりになりました。

案内役の女性は、「電子手帳を買う」とか言っていましたが、何を買ったのか教えてくれず、同店の店員から伝票のようなものを渡されて、それに何やら商品名を書き込んでいるようでした。その後、その伝票を店員に渡し、引換券のようなものをもらっていました。

結局、中山さんが所持していた3枚のクレジットカードを利用して、それぞれ50万円、30万円、10万円の合計90万円の買い物をし、中山さんはその場で52万円を現金で手渡されました。

その足で中山さんは、借入先の「Dファイナンス」へ行って、同店からの借入金50万円を完済。
Tクレジットの事務所へ戻り担当の小林氏に「Dファイナンス」からもらった領収書を見せて、「融資の方をよろしくお願いします」と言いましたが、「さっき、買い物しないとかグズグズ言っていたので、そこで最初に書いてもらった借入申込書は破棄してしまった」とうそぶくのです。

「話が違う」と言って抗議しましたが、「じゃあもう一度申込みをしてくれ。ただし最初に言っていたような条件で貸せるかどうかわからない」と言われました。
そこで、再度借入申込書を書いて相手方に渡し、「返事はいつもらえますか?」と聞くと、「明後日にでも電話をしてくれ」という話でした。

約束の2日後に、「Tクレジット」へ電話をすると、「担当の小林は今外出中でおりません」と言われました。
その後、何度電話しても同じ対応で、担当の小林氏に取り次いでくれず、融資の話はうやむやにされてしまいました。

参考:書籍「クレジット・消費者金融のトラブルが解決できる」

~ギフト券購入編~

この事例は実際に身に起こった事実です。

結果は詐欺に遭ったのですが、そのやり方は卑劣極まりない横行な手口でのクレジットのショッピング枠を利用した現金化でした。
自分が詐欺に遭ってるなんて全く気付かず、色んな方法で何とか現金を手元にし、それを相手側に振り込むことに精一杯でした。

消費者金融からの借入も満額となり、もう出せるお金はないと言ったところ、その詐欺業者は「クレジットのショッピング枠はいくらくらいありますか?」と聞いてきました。
当時の私は20代から使用していたクレジットカードが4枚ほどあり、それも枠は1枚が200万円、もう3枚が同じ信販会社のものでショッピング枠は合わせて100万円ほど。

何も疑うことのなかった私(相当バカ)は、相手の言われるがまま、先ずはアマゾンのギフト券を購入。
どうもギフト券を購入してある換金業者のサイトを使って入札&落札させるという方法でした。

アマゾンでは1万単位で、それも数十万と小分けにし、ある換金業者のサイトにて出品を繰り返しました。
還元率がすごくいい時は95%や97%で売れることもしばしば。

例えば、10,000円のギフト券を入札。もしもそれが95%で売れたなら9,500円が自分の手元に入ってくることになりますが、換金業者の手数料、おおよそ500円ほどを差し引くと9,000円が実際に自分の銀行口座へ振り込まれます。(振込手数料300円ほども引かれる)こうして相当バカで言いようのない私は数百万円の借金を作ってしまいました。

この時、信販会社から、「何か高額なお買い物をされたようですがどのようなものをご購入されたのですか?」と電話連絡が入りました。

その時の私は完全に騙されているなんてことは思ってもなかったため、「大丈夫です!」との一言で済ませてしまいました。
後になって騙されたことに気づかされたときにはもう遅かった・・・カードは取り上げられてしまいました。

クレジットカード現金化は限りなく黒に近いグレーゾーン

2011年8月、警視庁は出資法違反(高金利の受領など)容疑で「キャッシュバック型」でショッピング枠を現金化していた男を逮捕し、3ヶ月後の11月、この男に懲役3年執行猶予5年の有罪判決が言い渡されました。

クレジットカード現金化の仕組み

この男は東京都台東区の貴金属販売会社「インフィニティ」の元代表。
融資を求める客に対して、1個30~120円のおもちゃのネックレスなどを宅配方式でクレジットカードを使って数千円~百数十万円の高額で購入させた上、カード会社から入金される代金の一部を差し引き、残りの金を客にキャッシュバックする方式で、カードのショッピング枠を現金化していたそうです。

クレジットカードの現金化は貸金業法や出資法のグレーゾーンの部分を利用した商行為です。
今回の初の摘発も実質的な利息は法定の10.96~22.95倍に当たるということです。

今までの場合は摘発するための根拠となる法律自体、存在はしていませんでしたが、今回のこの逮捕で現金化商法はグレーゾーンから違法行為となりうるといういう見せしめ的な摘発・逮捕のように感じます。

顧客自体商品について把握していないことや、商品価値が極端に高額、貸付が目的だと判断され、今回は逮捕に至った訳ですが、逮捕にまで至らない場合でもこのクレジットカード現金化は、限りなく黒に近いグレーゾーンだと言い切ることはできるでしょう。
(一部、画像含む 日本経済新聞 電子版より参考)

クレジットカードのトラブルについてはこちらも参考にしてみてください。
>>クレジットカード犯罪の種類