この商品いいなぁ~と思って買ってはみたものの、よく考えたらやっぱり自分には必要のないものだったなぁ・・・なんてこと一度はありますよね?

でもこんな場合、それを返却できる権利が消費者にはあるのです。それが「クーリングオフ」という制度で、このクーリング・オフ制度がどういったものなのかを事前に知っていれば相手の言いなりになることなく、問題を解決できます。

このクーリング・オフのネーミングは、頭を冷やすという意味からクーリングオフと言われているのです。
そこで今回はクーリングオフの内容やその方法について、知っておいたほうがいい知識をお伝えしたいと思います。

クーリング・オフ制度とは?

クーリング・オフ制度とは、消費者が契約の申込みをしたり、契約の締結をした後に、一定期間内であれば特別な理由がなくても、無条件で、申込みの撤回や解約の解除ができる制度をいいます。

つまり、一度手続きや購入した申込みや契約を、なかったことにしてしまうことができるのです。
本来ならば、申込みにしろ契約にしろ、いったん行った以上は守らなければならないのが原則です。
クーリング・オフは、民法の原則に対して無条件に申込みや契約を撤回・解除できる例外的な制度です。

しかし、取り消しや解除のようにいったん成立した契約をなかったものにできる場合があります。
この場合は次のような不適切な勧誘によって誤認・困惑して契約した場合に限られます。

消費者契約法(消費者契約法第4条)

  • 業者が勧誘する際に、契約の重要事項について「事実と違う」ことを告げた。(不実告知/1項1号)
  • 業者が将来の見通しが不確実なのに、確実であると誤解させるような決めつけ方をいった。(断定的判断/1項2号)
  • 業者が勧誘する際に、消費者の利益になることだけを説明して、不利益になることについては故意に説明しなかった。(不利益事実の不告知/2項)
  • 消費者が事業者に対して、帰ってほしいといったのに帰ってくれなかった。(不退去/3項1号)
  • 消費者が事業者に対して、帰りたいといったのに、帰してくれなかった。(退去妨害/3項2号)

民法(民法第96条・4条)

  • 詐欺または強迫されて契約した場合。(詐欺または強迫/96条)
  • 親権者の同意を得ずに未成年者が契約した場合。(未成年者による取り消し/4条)

上記のような事項に当てはまるものは、詐欺や強迫・債務不履行などの特定の事実が存在する場合に限られます。

クーリング・オフができる場合とできない場合

クーリング・オフ制度は消費者にとっては非常に有利な制度ですが、ではどんな場合でもクーリング・オフ制度ができるのかと言えば、そうでもありません。

実は平成 20 年の割賦販売法の改正前では、個別クレジット会社による販売業者への立替払いを行った後、売買契約が例えクーリング・オフされたとしても、消費者は、既払金を個別クレジット業者から取り戻すことは基本的にはできませんでした。

しかし、平成 20 年に割賦販売法が改正されたことにより、特定商取引法に定める 5 類型取引(販売訪問、電話勧誘訪問、特定役務提携)を原因行為とする個別クレジット契約についてのクーリング・オフが導入され、個別クレジット契約がクーリング・オフされた場合に、購入契約等もクーリング・オフされたものとみなされることになりました。
これによって消費者は、クレジット契約で支払済みのクレジット代金を、クレジット会社に対して返還請求できるという仕組みが出来たのです。

クーリング・オフができる場合

クレジット契約による物品の購入の場合では、以下の割賦販売法4条の4に定める要件を充たす場合に可能となります。

  1. 個別クレジット契約で、販売訪問、電話勧誘訪問、特定役務提携の場合(後述する適用除外に該当しないこと)
  2. 営業所等以外で行った割賦販売行為であること。
    営業所等とは、商品販売のために設けられた固定的な設備を持つ店舗などをいいます。つまり、訪問販売などで自宅で契約したり、仮設店舗や喫茶店に呼び出されてそこで契約したような場合はクーリング・オフできるのです。
  3. 契約書を受け取った日(書面受領日)から8日目以内であること。
    連鎖販売取引(マルチ商法等の契約)、特定継続的役務提供(内職・モニター商法など)についでのクーリング・オフ期間は契約締結後20日間です。(特定商取引法)
  4. クーリング・オフする旨を書面によって業者に通知すること。
    電話や口頭で通知しただけではクーリング・オフの事実の証拠がなく、争いになると認められない結果となるので、面倒でも書面(内容証明郵便がよいが、少額ならばコピーをとり、簡易書留でもよいでしょう)で通知することが必要です。
    クーリング・オフすれば、販売契約も同時にクーリング・オフされます。

参考:書籍「クレジット・消費者金融のトラブルが解決できる」

クーリング・オフができない場合

前述の要件にかかわらず、次の場合にはクーリング・オフはできません。

  1. 営業のため、もしくは営業として契約する場合
  2. 海上タクシー、飲食店、マッサージ、カラオケボックス、自動車、自動車リース、電気、ガス、熱の供給、蒸式、消耗品など適用除外の場合

参考:書籍「クレジット・消費者金融のトラブルが解決できる」

クーリング・オフの仕方

クーリング・オフの方法は「書面で」行うことが法律で定められています。

例えば特定商取引法「第9条」の訪問販売や、「第24条」のにおける電話勧誘販売契約の申込みを例に見てみると、「書面によりその~解除を行うことができる」と定めています。
そのため、解約を解除することを「書面で」行って、郵送することが条件と見ることができます。

特定商取引に関する法律

(訪問販売における契約の申込みの撤回等)

第9条  販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において指定商品(その販売条件についての交渉が販売業者と購入者との間で相当の期間にわたり行われることが通常の取引の態様である商品として政令で定める指定商品を除く。以下この項において同じ。)

若しくは指定権利若しくは指定役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客から指定商品若しくは指定権利若しくは指定役務につき売買契約若しくは役務提供契約の申込みを受けた場合におけるその申込みをした者又は販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等以外の場所において指定商品若しくは指定権利若しくは指定役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合(営業所等において申込みを受け、営業所等以外の場所において売買契約又は役務提供契約を締結した場合を除く。)

若しくは販売業者若しくは役務提供事業者が営業所等において特定顧客と指定商品若しくは指定権利若しくは指定役務につき売買契約若しくは役務提供契約を締結した場合におけるその購入者若しくは役務の提供を受ける者(以下この条において「申込者等」という。)は、次に掲げる場合を除き、書面によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。

(電話勧誘販売における契約の申込みの撤回等)

第24条  販売業者若しくは役務提供事業者が電話勧誘行為により電話勧誘顧客から指定商品(その販売条件についての交渉が販売業者と購入者との間で相当の期間にわたり行われることが通常の取引の態様である商品として政令で定める指定商品を除く。以下この項において同じ。)
若しくは指定権利若しくは指定役務につき当該売買契約若しくは当該役務提供契約の申込みを郵便等により受けた場合におけるその申込みをした者又は販売業者若しくは役務提供事業者が電話勧誘行為により電話勧誘顧客と指定商品若しくは指定権利若しくは指定役務につき当該売買契約若しくは当該役務提供契約を郵便等により締結した場合におけるその購入者若しくは役務の提供を受ける者(以下この条において「申込者等」という。)は、次に掲げる場合を除き、書面によりその売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。

もしもクーリング・オフを口頭で行った場合はどうなるの?

クーリング・オフは先ほどの特定商取引法にあるとおり、法律にて「書面で」行うこととされており、万が一口頭でクーリング・オフを行った場合はその証拠も残らず、何よりも上記の要件を満たしていないことになります。

口頭では後になって、「言った」「言わない」などの水掛け論になるだけで後々のトラブルにも大きく影響します。
例えば、クーリング・オフをしたいと電話で申し出たところ、「担当者がいません。」と言われ、クーリング・オフの期間が過ぎてから「期間が過ぎているのでクーリング・オフはできません。」と連絡があり、結局できなかったという事実が非常に多いのです。

昭和63年の大阪簡易裁判所の判例では、「書面による」としたのは後日の紛争を防ぐためで、期間内にクーリング・オフの権利を行使したことが明らかな場合には、書面によらなくても有効と認められています。
しかしこれに反して昭和62年の大阪地方裁判所判決では電話によるクーリング・オフの効力を否定しています。
裁判所の判断は分かれていますが、いずれにしても書面で行うに越したことはありません。

クーリング・オフは書面による内容証明郵便がおすすめ

クーリング・オフにより契約を解除する場合、解除の通知を書面で行ったことを証拠として残しておくために、配達証明付きの内容証明郵便にしておくと確実です。

内容証明郵便というのは、「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって郵便局(郵便事業株式会社)が証明する制度です。(日本郵政株式会社HPより抜粋)」

そのため、郵便局では、

手紙を出した事実

手紙を出した日付

手紙の内容

を証明してくれるのです。
内容証明郵便であればクーリング・オフの意思表示をしたという証拠を確実に残すことができるので、この方法が断然おススメです。

はがきでの書き方・簡易書留の出し方

消費生活センターでは、「はがき」での書面でもOKと記載がありますが、この場合、証拠を残すために特定記録郵便または簡易書留で送付します。

~書き方~
はがきでの書き方は次のように書くといいでしょう。
そして記載したはがきは、郵送する前に必ず両面(表と裏)をコピーします。
クーリング・オフ「はがき」の書き方

参考:名古屋市消費生活センター

~出し方~
簡易書留の費用は、
(イ)ハガキ代 52円、(ロ)簡易書留310円、合わせて362円かかります。

しかしクーリング・オフを行う相手が悪徳業者や契約金が高額な場合には、やはり効力の高い「内容証明郵便」での方法が一番いいでしょう。

内容証明の書き方・出し方

    ~書き方~
    手紙での書き方は次のように書くといいでしょう。
    クーリング・オフ「手紙」の書き方

    参考:書籍「クレジット・消費者金融のトラブルが解決できる」

  1. 内容証明の用紙は市販されていますが、
    縦書き 1行20字以内、1枚26行以内
    (横書きの場合、1行13字以内、1枚40行以内、または1行26字以内、1枚20行以内も可)

    の文字数と行数を守れば、どんな用紙に書いてもかまいません。

  2. ボールペンによる手書き、タイプ、ワープロ、どれでも構いません。数字、句読点、記号も1字として数えます。
  3. 訂正がある場合は、間違えた場所を2本の線で消して書き直しますが、欄外に「〇字削除〇字加入」といった注記を書き訂正印を押します。
  4. 文面が2枚以上になる場合には、割印が必要です。
  5. ~出し方~

  6. 同文のものを3通作りますが、これはコピーやカーボンを使って作成してもかまいません。
  7. 3通の文章と一緒に封筒に宛名・差出人を書き、封をせず下記の郵便局等へ持参します。
  8. 郵便局では3通が同じものであるか、字数などを確認します。
    (訂正等があると印鑑が必要となるため、一応持参のこと。)
  9. 受取人通知用、差出人用、郵便局保管用として処理されます。
  10. 内容証明郵便の費用は、
    (イ)内容証明料料430円(2枚目以降は、1枚増すごとに260円加算)
    (ロ)簡易書留430円
    (ハ)通常郵便物の料金82円(定型25グラムまでの場合)
    (二)配達証明書料310円(差出後の証明は430円)

    で、最低でも1,252円かかります。